ひとびとは、いかにして命の海を原発から守ったか。
三重県に原子力発電所の計画があったことをご存じだろうか。
20世紀後半、中部電力が度会郡南島町(現南伊勢町)と紀勢町(現大紀町)にまたがる芦浜への建設を目論んでいた。
1963年の計画発表から37年間、推進か否かで地域を分断する壮絶な闘いが繰り広げられた末、2000年2月22日、北川正恭知事(当時)が計画の白紙撤回を表明。
原発建設は事実上中止されたものの、今なお中電は計画地であった芦浜を所有している。
本書は、反原発闘争に関わった県民のひとりが、その歴史を後世に伝えるべく記した私的回想録である。
〈本書の内容〉
日本初の漁民海上デモ/原発の本質を見抜いた漁民/反原発闘争は第2回戦へ/
女性たちが起ち上がった/ぼくの「危険な話」/進む地域破壊/闘争第3世代の登場/
原発推進の町・紀勢町のこと/古和浦漁協の理事3ちゃん/臨時総会を実力阻止/
原発いらない県民署名運動/81万署名が政治を動かす/
37年間の戦いが終わった/闘争は終わらない
〈著者〉
柴原洋一 Youiti Shibahara
1953年浜島町(現・志摩市)生まれ。
信州大学人文学部卒業後、78年より三重県の高校英語科教師に。
86~91年、南島高校に勤務。
83年から芦浜原発反対闘争に加わり、90年代に南島町芦浜原発阻止闘争本部が組織した「脱原発みえネットワーク」の事務局長を務めた。
2011年、退職。
「原発おことわり」三重の会会員。
編集・発行/月兎舎
四六判並製 220頁